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10.242022
オストメイトの”おなら”の消音対策 -2
様々な”おならのサンプル音とその周波数分布”
オストメイトのおならの消音対策を考えるにあたっては、まずおならの音をきちんと理解する必要があります。
ネット検索してみると、ありました、youtube上に。
“【完全保存版】Google Home「おならの音」全パターンコレクション”(https://www.youtube.com/watch?v=Y8WnJK8cUqI)という表題で、Googleがネット上で集めた8種類の音を順番に再生していきます。インターネット上にはありとあらゆるコンテンツが存在することを痛感しました。
さて、この8種類のおならパターンをPCで再生しながら、それぞれの周波数分析をすることで音の高低の要素を観察してみることにします。
今回の測定システムは非常に簡素なもので、PCに小型外部スピーカを接続し、ここから音を発生させ、それをスマートフォンのマイクから取り入れ、周波数分析用アプリ(今回は”Spectroid”を使用)を使って測定します。
それぞれのおならの音を分析する準備として(面倒くさい話ばかりですいません)、事前に今回の再生用スピーカ+集音用マイクの周波数特性を知っておくために、人の耳の可聴域周波数である20Hz~20KHzの正弦波を連続的に変化させ(以後”スイープ”と表現)、一度分析しておきます。
写真2がその際の、各周波数ごとの最大音圧のグラフです。
この実験では、20Hzからスタートして順次周波数を上げて変化させていきますが、ある特定周波数の音圧レベルは、写真2bのような鋭いピークを示し、それが周波数変化(時間)とともに左(低周波)から右(高周波)へと移動し、20kHzになった段階で、赤線グラフが完成となります。
20Hzから20kHzまでフラットであれば観察しやすいのですが、このシステムでは3kHzから10KHzまでの音圧が高くでる傾向にあるといえます(因みに1KHzと6~8kHzでは25dB程度の差が出ています)。
また各周波数のピーク波形をリアルタイムで目で観察すると、20Hz~50Hzの低音域でピークが検知できませんでした。今回の機材の外部スピーカの径が恐らく小さすぎたことと思われます。
しかしながらおなら音サンプルを観察すると、どのサンプルもこの帯域よりずっと高周波側に顕著な音圧が存在することから、この測定系でも問題がないものと判断しました。
以後おなら音の消音実験として、スピーカとマイクの間に消音用フィルターを挿入し、その効果の有無を判断していきますが、この簡易システムで行うものとします。
■おならの周波数分析
それではおなら音のサンプルを観察してみることにします。
ここでも前もってお話ししますが、それぞれのおなら音の収録環境を厳密に調べたわけではありませんから、現場の正確なおなら音の周波数特性とは言えません。ただそれぞれの再生音を耳で聞いた限りでは、一般的なおならの音に聞こえますので簡易実験観察としては問題ないと考えます。
下の写真2-1に再生順にtype1~8まで並べてみました。見るべきポイントとしては赤線グラフのそれぞれに関してどんな特徴があるかということです。おおまかな周波数分布、音圧分布に大きな違いが認められるかどうかです。
これらをじっくりと見比べてみると、以下のことがいえるのではないでしょうか。
1,周波数分布に関して、帯域はどのタイプも200Hzから9KHzの範囲で大きく音圧が上がっている。
2,5K~9kHzの範囲は、システムの周波数特性として20~25dBほど高く出る傾向を考えると、200Hz~3kHzにピーク値をもつ台形状音圧分布が想像できる。
3,200Hz~3kHzの範囲内では、特定の周波数(音域)だけが高いということはなく、どの周波数も満遍なく存在する。
4,8パターンの観察では、耳で聞いたうえでは違って聞こえても、周波数分布はかなり似通ったものである。
実際に耳で聞くおなら音は、音量、音色とも様々に聞こえるものですが、人間の腸の長さや肛門部の構造により、実はおなら音の周波数分布は200Hz~10kHzあたりまでに限られるものかもしれません。
であればこの帯域で効果的な消音フィルターを探すことは可能かもしれません。
現実問題としては音を消すとは不可能に近いと言ってもよい程非常に難しいことですが、それでも少しでも伝わる音量を下げることは可能と考えます。
次回は、ストーマの前に置くフィルターを前提として、市販されている吸音材、エアパッキングシート、皮革、様々な布地、ウレタン等を用いて、吸音、遮音効果を調べてみます。