Tips
7.42023
タイプ別“1ピースパウチ”の価格比較
前回はパウチメーカ毎の一覧表を掲載しましたが、不思議なもので、一覧表を見ていると色々なことに気付かされます。
各メーカごとの製品ラインの品数も目視で直感的に理解できますし、同じモデルで消臭フィルターの有無で価格が30円違うこと(ユーケア―)や、コロストミーパウチとイレオストミーパウチが同じ値段に設定されていたり(センシュラミオ1 ソフト、ライトとイレオバージョン)、様々な発見があります。
今回は、同じタイプごとのパウチを全メーカ並べてその価格を比較します。
パウチタイプは、1:コロストミー用フラット面板付、2:コロストミー用凸面板付、3:イレオストミー用、4:ウロストミー用フラット面板付、5:ウロストミー用凸面板付、6:クローズタイプの6タイプで見ていきます。
表1には各タイプごとに市販されているパウチの製品数とその平均価格、価格帯を示します。
順番は平均価格の安い順になっています。
一番廉価なタイプは、クローズ(閉鎖型)パウチで、排泄口が無く、ストーマバッグ容量も小さく確かにコスト的に他タイプより安くなるはずです。ユーザ側で考えると1回だけの使い切りタイプですから安くなることに越したことはありません。
次は巻き上げタイプのドレイナブル排泄口で、フラットな面板をもつコロストミー用パウチで、250円ほど価格が上がります。3番目はイレオタイプで、キャップ付き排泄口やその実装コストにより平均価格で250円ほど価格が上がっています。実装コストに関連して、イレオタイプでは排泄口キャップとバッグの接着部分で漏れが発生しないように素材同士の相性や接着方法が重要なポイントだそうです。
表を見ていると面板がフラットタイプから凸タイプに代わるだけでかなり価格が上昇していることが分かります。コロストミー用パウチにおいては顕著で、フラット面板パウチ(平均価格:582円)から凸型面板に代わるだけでパウチの平均価格は853円へとアップします。金額で326円、一枚当たりのパウチ価格で56%もの上乗せとなります。これは凸面を維持するための形状支持用樹脂や、ベルトタブ等追加構造が必要となるためのものです。
ウロストミーパウチについても同様なコスト増により価格が上昇し、最も価格帯で高いタイプのウロストミー用凸版タイプでは平均価格が1,000円を超え、1,027円となっています。3日おきに交換すると仮定すると、パウチだけで月1万円以上の出費となる計算です。
1, タイプ別各社パウチ価格比較表
各表では、同タイプのの価格単価の安いものから順番に並べてあります。
1,コロストミーパウチ(フラットタイプ)
排泄口が巻き上げタイプのドレイナブルパウチで面板が平面タイプのパウチです。全メーカ19種類が存在し、520円から630円の価格帯に17製品が集中します。安い価格帯には溶解型面板が多く使用されていることが分かります。
これよりも安いパウチもありますが、排泄口がクリップ等の閉鎖具となっています。
2,コロストミーパウチ(凸タイプ)
表中の製品名の最後に、(軟**mm)、(硬**mm)と表記していますが、これは軟性(硬性)凸面型:凸部高さ**mmを意味します。
コンベックス(凸)タイプのパウチには、軟性凸面型(soft convex)と硬性凸面型(firm convex)の2つの主要なタイプがあります。これらのタイプは、ストーマ周辺の皮膚の形状や状態に基づいて専門看護師の方々が選択されると思います。
軟性凸面型(soft convex): 軟性凸面型のストーマパウチは、ストーマ周辺の皮膚がやや凹凸している場合に適しています。軟性凸タイプの面板は、皮膚の凸部分に対して柔軟に密着し、周囲の皮膚への負担を軽減するものです。
硬性凸面型(firm convex): 硬性凸面型の支持体は、より硬い樹脂素材から作られ、ストーマ周囲の皮膚が平坦で窪んでいる場合や凹んでいる場合に適しています。硬性凸面型のパウチは、密着性を重視し、周囲の皮膚を持ち上げることでストーマを保護します。
このカテゴリーでは27種類と多くの製品が存在し、パウチメーカ全社がこのタイプの製品ラインアップを提供しています。フラット面板に比べ、凸型はグッと価格が上がり、最安値のパウチでも700円台となり、中心価格帯は900円台と言えます。高価格帯には膨潤タイプのパウチが使用されています(表中では、溶解型面板と膨潤型面板を色分けして表示しています)。
フラット面板パウチでも凸型面板パウチでも最高値パウチはホリスター社のモデルマフレックスFWですが、凸型面板付きパウチではフラットタイプに比べ410円上昇し、1,120円となっています。
3,イレオストミーパウチ
全18種類のうち、コロプラスト社が最多の5種類を揃えています。マーレン社からは本カテゴリータイプの製品は販売されていません。価格帯は、アルケア社のイレファインDキャップフラット(700円)から始まり、最高値のアルケア社セルケア1Dキャップ(1,100円)まで中心価格帯が存在することも無く、満遍なく分布しています。1/3が溶解タイプ、2/3が膨潤タイプの面板となっています。
4,ウロストミーパウチ(フラットタイプ)
ウロストミーパウチは、イーキン社を除く全種類のパウチに逆流防止弁、ドレナージバッグへの接続管が付属します(イーキン社のパウチは接続管が不要)。
備考欄には排出口の止め方で、キャップ式、回転ロック式の方式を記述しています。
マーレン社の備考欄にスライドロック式とありますが、これは排泄口具を上下にスライドさせることにより開閉する構造をとるものです。
フラットタイプ面板付きパウチは、18種類が提供されています。価格帯は550円(ユーケア・U)から1080円(センシュラミオ1コンケーブウロ)と幅広いのですが、中心価格帯は800円台です。溶解タイプ面板と膨潤タイプ面板の比率はちょうど50%:50%です。
5,ウロストミーパウチ(凸タイプ)
表中の製品名の最後に、(軟**mm)、(硬**mm)と表記していますが、これは軟性(硬性)凸面型:凸部高さ**mmを意味します(コロストミーパウチ(凸タイプ)欄参照)。
コロストミー(凸タイプ)パウチと同様、27種類のパウチが全社から販売されています。このタイプでは、イーキン社を除く全種類のパウチに逆流防止弁、ドレナージバッグへの接続管が付属します(イーキン社のパウチは接続管が不要)。
備考欄には排出口の止め方で、キャップ式、回転ロック式の方式を記述しています。
備考欄には排出口の止め方で、キャップ式、回転ロック式の方式を記述しています。コンバテックのアクティブライフ ユリナパウチの止め方がパイプ式とありますが、これはかなり古いタイプのパウチになりますが、排出口から出ている細いパイプを折り曲げ、隣の突起部に差し込む仕様です。キャップ式の変形版と考えて良さそうです。メリットとしては他の治具に比べ嵩張りにくいとのことです。
またセルケア1Ucはダブルロック方式とあり、キャップおよび回転ロック部を両方備えているものです。マーレン社のスライドロック式とは、排泄口具を上下にスライドさせることにより開閉する構造をとるものです。
このカテゴリーでは大半のパウチが1,000円を超え、最高値のパウチはビーブラウンのフレキシマ ウロシルク コンベックスの1,280円です。
様々な機能が必要なだけに平均価格は上がり、中心価格帯は1,100円といったところです。
6,クローズ(閉鎖型)パウチ
本カテゴリーでは21製品が存在します。
価格帯は、アルケアのユーケア―・C(230円)から始まり、ユーケアー・Cc(450円)までと約200円幅で満遍なく価格付けされた製品が揃います。
ホリスターのストマキャップMCに関しては、面板接着部がアクリル粘着剤とあり、その素性は不明のままです。
*本Tipsをご覧の方々へ
本データは、弊社での調査に基づき作成されており、個々のデータの正確性には細心の注意を払いながら作成しておりますが、調査ミス、転写・作成ミス、各メーカの製品アップデート等により、実際の製品仕様と合致しない情報が含まれている可能性もあります。本データによりパウチのご購入を検討されているオストメイトの皆様は、ご購入までに改めてご自身で製品の仕様を再確認ください。
以上