オストメイトはネットで何を検索する？

日頃”Kinokiita.jp”をご利用いただきありがとうございます。

弊社では”オストメイトがこの1年間でどんな検索を行ってきたか？”、
をテーマに、Googleで使用された検索クエリー（検索要求）に対してKinokiita.jp内のページが表示された回数を分析し、日頃オストメイトの方々が、どんなキーワードを使用してネットを検索し、その興味、悩みを推測してみました。

その中でいくつか興味深いデータをピックアップしてみます。
弊社サイトの表示回数なので、全てがオストメイトとは限らないのですが、弊社調べではアクセスユーザの4%が医療関係者（医療従事者、メーカ、代理店）で、残り96%はオストメイトまたはその家族で、大体はオストメイトの意向と言って良いと思います。

１，ストーマ、ストマ？

検索ワードを調べると、様々なキーワードの中にストマ、ストーマが頻繁に入り混ざって見受けられます。
その割合を全ワードに関して調べたところ、ストーマ、ストマ表示の全数の92.4％が”ストーマ”と表記、残り7.6%が”ストマ”表記という結果でした。パウチメーカ、医療サイトも特殊な例を除いてほぼ全て”ストーマ”に統一されています。タイピングの際は、ストマの方が楽なのですが、”ストーマ”が全体のコンセンサスということになります。

２，オストメイトが検索で最も多く使うキーワード

検索の際には自分の求める情報をより的確に絞り込むために、複数のキーワードを使うケースが殆どです。それらの複数の単語で構成されるクエリー（検索要求）を単語別に分解して、その使用頻度ランキングを調べてみました。

　1位　ストーマ：全検索キーワードの60%に相当する84,463の検索に登場します
　2位　パウチ　：同様に29.8%の42,004回
　3位：ガス抜き：同16%
　4位：面板　　：同7.1%

No.1は”ストーマ”で、ストーマケア関連検索ワードの60%に使用されています。次がパウチで、”ストーマ　パウチ”と同時に使用される例も多くみられました。そもそもがストーマケア関連なので十分予測はされていますが、残り40%はストーマを一切使わない検索、と言う事も出来ます。

次いでNo.3に”ガス抜き”が現れます。如何に多くの方が”ガス抜き”に関して、悩んでる/疑問に思ってる/解決したいと思っているかを表す数字だと思います。

No.4が”面板”で、そもそも面板自体が何ものかを理解するために多くの検索要求が発せられています。読み方そのものですら”面板”検索の約9%のユーザが調べています。

意外と少なかった検索ワードが”オストメイト”で、12位の3.3%という結果になっています。オストメイトであるという客観的ポジションの中での関心事項は乏しいのかもしれません。また”ガス抜き”が2位であるのに対して、その現象”バルーニング”は43位(0.6%)と、現象そのものより問題解決、という姿勢が明らかです。

ランキング上位のキーワードをお知らせしましたが、別の見方をすると、これらのワードだけで検索しても、表示される検索結果が多すぎて、欲しい情報が選別できません。更に別のキーワードを使って情報を絞り込む必要が出てくるということです。”ストーマ　パウチ　ガス抜き”、や”ストーマ　パウチ　面板　交換頻度”などです。

検索の際の精度を上げるコツを一つ挙げます。もし全てのキーワードを含む情報を検索をしたい場合は、検索キーワードを””（ダブルクォーテーション）で囲ってやる方法があります。検索窓に「ストーマ パウチ 面板」と入れるのではなく、「”ストーマ パウチ 面板”」と入力する方法です。試してみてください、結果が異なります。

３，ストーマライフにおける悩み事、関心事

“オストメイト”は出現頻度が予想以上に低く、”オストメイト”を”ストーマ”に置き換えて各検索ワードを眺めながらデータ抽出を行いました。
煩雑さ（剥がれ、交換、ガス抜き、入浴、衣服、パウチ選び、トイレ）に関するクエリーや、、臭い、痛み、おなら、漏れ等が並ぶ結果なりました。

日々の生活におけるパウチメンテナンスとして必要な、ガス抜き、交換が二大関心事として存在し、次いで面板の剥がれ、臭い、痛み、おなら音と続きます。

“ガス抜き”に関してこれだけ検索されていることに驚きます。オストメイトがパウチのガス抜きフィルターの機能を実感していないことにあるのではないでしょうか？

どのメーカもガス抜きフィルターの機能をカタログではうたっていますが、それを見た限りでは、オストメイトはパウチ内のガスはスムースに抜けていくものだと思っていると想像します。それでも自分のパウチは膨らむことに関し、不思議、あるいは不安に思っている結果なのではないでしょうか。

これら“日常生活の悩み事クエリー数”は、ストーマケア関連ワードの全クエリーの40.6%を占め、カテゴリー別では、圧倒的1位の結果となります。心配事、悩み解消が検索の大きなモチベーションであることが分かります。

４，面板の”溶解”、”膨潤”

”面板”関連のキーワードの中では、その内の61.2%が面板全般に関するもので、“溶解”に関するクエリーが30.6%、膨潤タイプに関するクエリーが8.2%という結果となっています。

面板全般の40%以上が“面板とは”に集中しています。これはパウチの中で、面板が一番選択肢も多様に存在し、そのタイプ（1ピース/2ピース、平面/凸型）や皮膚保護剤の種類など、オストメイトにとって最も難解なパーツとみて良いでしょう。

“面板とは”は、ユーザが面板自体を理解するための検索行為と考えられますが、一方、面板に関するオストメイトの悩み事、という観点でみると年間クエリー数第6位の“パウチ 剥がれ”や“パウチ　漏れ”も挙げられます。

“溶解”クエリ―と”膨潤”クエリ―数に大きな差が出ていますが、これは恐らく溶解タイプの面板のユーザ数や興味が多数を占めるというよりも、日常生活ではあまり聞き覚えのない“膨潤”現象という現象も含めて、その面板の経時変化に対し、溶解、溶ける、と検索しているのではないかと推測します。

５，”ストーマ”と”パウチ”

いくつか検索キーワードを例に下に挙げますが、”ストーマ”と”パウチ”を混同している、あるいは”ストーマパウチ”を”ストーマ”と省略して検索している例が多くみられました。　
　１，”ストーマ ガス抜き やり方”
　２，”ストーマ交換 頻度”
　３，”ストーマとパウチの違い”　
　４，”ストーマ　膨潤” 　
　５，”ストーマ交換”
ストーマをストーマパウチと読み替えると意味が通じるものが殆どですが、３，はまさにストーマとパウチの違いを調べる検索キーワードです。新たにストーマ造設を行った方は、今まで聞いたことのないカタカナ名詞に戸惑う様子を表しているものかもしれません。

６，パウチメーカ関連キーワード

メーカ関連キーワードは、年間の総検索クエリー140,761件中、16.3%に相当する22,906件とユーザの関心度の高いカテゴリーでした。この検索クエリーは、直接メーカ名が入ったものと、各社の製品名などが入ったものに分けられます。

オストメイトは企業名と製品名を、何らかの理由で検索しますが、企業名の認知度が高いメーカ、製品名の認知度の方が高いメーカなど企業の特色が表れています。

企業名によるクエリーと製品名によるクエリーに関しては、ユーザ（オストメイト）の検索動機は何であれ、それぞれのマインドシェアとみることも出来ます。
オストメイトが、ストーマケア関連企業を思い浮かべる際にどのメーカを思い付くのか、ストーマケア製品を思い浮かべる際には、どのブランドを思い付くのか？
現時点の結果ですが、企業名ではホリスター社が、製品名ではコロプラスト社が最も検索されている結果となっています。

７，最後に

今後は、今回話題にした”検索”に代わって、今話題のChatGPTやOpenAIなどの人工知能を使った新しい”ユーザのお悩み解決ソリューション”が入手可能となるでしょう。現時点では、バックに控える膨大なビッグデータがまだ古く、最新の情報を使った答えを得る、迄には至っていませんが、実現は間近といえます。

オストメイトのお悩み解決も更に高度なものがネットで簡単にアクセスできる環境が来るとは思います。
ただ、医療という観点で、その答えの信頼性については担保されるべき必要があります。