Tips
7.32023
市販の全ストーマパウチ価格一覧表
市販のパウチ価格を調査
今まで弊社ではパウチの価格に関して、特に調査を行ってきませんでした。
地方自治体から発行されるストーマ装具の給付チケットにより、パウチ選びの際に価格はそれほど敏感ではないのでは、と思い込んできたためです。
ところが多方面の方からお話を伺っているうちに、やはり消耗品として必ず必要なもので、価格がパウチ選びの重要な要因になることを知らされ、遅ればせながら、全メーカを通してパウチの価格について調査、次に様々な考察を行っていきたいと思っています。
まずは市場のパウチ価格の調査から始めます。
メーカ毎に調べていけば、それぞれの型番の価格情報は入手できますが、メーカを横断して一覧できる機会がないので、ここでは一覧性を重視しました。
以下にメーカごとに価格表を挙げていきますが、表は、”メーカ名”、”商品名”、”単価”(1枚あたり)、”販売ロット”(1セット当たりの枚数)及び”備考欄”で構成されています。
ここではメーカごとに価格をまとめましたが、次のTipsではタイプ別パウチごとにメーカ横断で価格を見ていきます。
1, 表の見方・留意点
表中に明記されていないスペックがありますので事前に説明します。
1-1,今回は、消化管用と尿路用の1ピースパウチのみとしました。2ピース系は面板とパウチバッグの組み合わせにより、1装着当たりのコストが判り難いため、次回以降の課題とします。
1-2, 各パウチの最低購入金額は、単価×販売ロット(枚数)で計算できます。販売ロットでは10枚セットが一般的ですが、特に単価が安いものに関しては30枚セットもありますので注意が必要です。
1-3, 透明・不透明のパウチが存在しますが、全メーカでそれぞれの価格は一緒であることを確認しました。(不透明パウチには不織布で覆われているものもあり、明らかにコスト増になっていると思われますが、受発注の際に混乱を招かないための、ある種のメーカ間での暗黙のルールでしょうか。)
1-4, ガス抜きフィルターに関しては、大半のパウチに付属していますが、特に尿路系パウチではフィルターが無いものも存在しますので、興味のあるパウチごとに確認をお願いします。
1-5, パウチの排泄口の構造に関して、備考欄に”閉鎖具付”と記したパウチは、クリップ等の留め具が付属します。イレオストミー/ウロストミー用の排泄口は、キャップ式や回転ロック式など開閉方法を記してあります。その他は巻き上げ式のパウチです。
1-6, 表中の価格は2023年7月1日時点のものです。必要に応じて本表はアップデートしてまいります。
2, 各社パウチ価格表
■ 消化管用1ピースパウチ
1,アルケア
消化管用としては、セルケア、ユーケア、イレファイン、プロケアーの主要4ブランド+小児用の製品ラインがあります。尿路用も含め、クローズタイプなど満遍なく揃っています。
コンベックスタイプの方がコストがかかる分、定価が上がり、セルケアに関しては、セルケア1・TD(平面タイプ)620円に対し、コンベックスタイプで凸支持体、ベルトタブの付属するTDs(軟性凸面型/3mm)が950円、TDc(軟性凸面型/4mm)が970円と、320円~350円価格がアップします。このTDs、TDcに関しては、配送時に面板保護用のケースがついていて嵩張るためか、販売ロットは5枚単位になっています。
2,イーキン
イーキンパウチとイーキンドッットという2ブランドのパウチが存在します。新発売のイーキンドットのフラット及びコンベックスタイプが、従来のイーキンパウチフラット(610円)とコンベックス(950円)と同価格設定になっています。イーキンパウチ フラットの小児/新生児用に関しては単価が993円と比較的高額な部類に入りますが、販売ロットが30枚単位で1回の発注額が29,800円とかなりの高額になります。
3,コロプラスト
メインのブランドは、センシュラ ミオ、センシュラ、アシュラの3種類ですが、それぞれのブランド下に、全く違う面板シリーズがあったり、イレオストミー用、クローズタイプや小児用などがラインアップされています。
センシュラ ミオ1では、ミオ1(オリジナル フラット面板)の他、コンケーブ(ポッコリお腹用面板)、コンベックスタイプとしては、ソフト、ライト、ディープの3種類のラインアップが揃っています。このシリーズでは、ミオ1(平面)がベースで610円と最も廉価で、次いでユニークな面板を持つコンケーブ、ソフト(浅凸面)、イレオ、ウロ(平面)が全て850円という基本価格路線が存在します。本製品ラインは新しいため、パウチ単価も610円~990円とまとまっていますが、古いブランドのアシュラでは、製品価格帯が470円~970円と広範囲に渡っています。センシュラ1イレオだけが珍しい販売ロット6枚単位となっています。
4,コンバテック
従来のアクティブライフ・ブランドに加え、エスティームブランドで多くの製品ラインアップの充実が図られています。
同じエスティームでも、閉鎖具付のエスティーム ドレインパウチ(325円)からインビジクローズ ドレインパウチ コンベックス(1,007円)まで様々な商品ラインが存在します。
↓のコンバテック製品の単価を眺めていると、他社にはない端数が多く並んでいることに気付きます。10枚、30枚単位ではこれらの端数は見えなくなりますが、理由は何なのかは不明です。
5,ダンサック
“ノバ”と”ノバライフ”の2つのブランドで、消化管用と尿路用パウチが提供されています。
ノバではコロストミー、イレオストロミー、ウロストミー対応パウチやクローズタイプ、小児用など全てが網羅されています。
パウチバッグの容量も通常タイプの他、ミニ、マキシ等のサイズがラインナップされています。
パウチ単価の価格帯は多くの製品が500円~900円台と手ごろな値付けと考えます。
ノバ、ノバライフとも大半が溶解タイプの面板ですが、最近発売されたノバライフTREが唯一の膨潤タイプです。このユニークな面板を使用したパウチについても、600円~990円の価格帯です。
6,ビー・ブラウン
溶解タイプ面板の”フレキシマ”と膨潤タイプの”フレキシマ アクティブ”の二つのブランドで展開されています。
フレキシマ アクティブにはパウチの容量に応じて、Mini, Midi, Maxiの3種類がありますが、他社が別価格を設定しているのに対し、本製品は一律590円となっています。
7,ホリスター
“モデルマ・フレックス”と”やわぴた”が主要ブランドです。
ユニークな面板4種”セラプラス”、”SF”、”FW”、”FT”を使用したパウチのラインナップが揃っており、平面タイプ(面板)のパウチでは、520円~710円と手頃感があります。
同じ皮膚保護剤を使用した凸タイプの面板付きパウチでは350円~410円高くなり、他社と同じ価格帯の製品となります。”やわぴた”ブランド下の製品は全てコンベックスタイプの面板で、同様に高額な価格帯分類となります。
8,マーレン
ソルブ株式会社による国内販売代理のため、あまり多くの種類は提供されておらず、イレオストミー、クローズ、小児用パウチは販売されていません。
他社に比べユニークなパウチ仕様として、予めエアーベントか消臭フィルターのいずれかを選べるようになっています。
エアーベントとは、日頃からガスが多く発生し、パウチが膨らみがちなオストメイトに向けた機能で、飛行機などをよく利用したり、あるいは介助者が必要なオストメイト向けにも、簡単にガスを外に放出することが可能になります。ただ、消臭フィルターかどちらかを選ぶ必要があり、フィルターを介さない分、臭いはかなり出るものと思われます。
パウチ単価でみると、フィルターの有無で価格は40円~60円の違いに留まりますが、エアベントに関しては、フィルター無に比べ、460円~480円ほど単価がアップします。これはエアベントフィルターが他社(KEM Enterprise 社)からの供給によるためです。飛行機を多く利用する米国らしい仕様と考えられます。
■ 尿路用1ピースパウチ
尿路用(ウロストミー)パウチは、各社から全45種類(透明/不透明は1種類とカウント)が販売されており、イーキン社を除く全種類のパウチに逆流防止弁、ドレナージバッグへの接続管が付属します(イーキン社のパウチは接続管が不要)。
排出口の開閉構造については次のTipsにて個々のパウチについてデータを付していきます。他タイプのパウチに比べ、最も高額な価格帯に位置し、1,000円台のパウチが多数存在します。
今回の価格調査を通して、いろいろな気づく点がありましたので、次回はこれらの調査結果を通じて、ランキング表示なども行いながら、それぞれのメーカのパウチ価格について考えていきたいと思います。
つづく