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10.52020
都道府県別ストーマ外来窓口数の比較
都道府県別ストーマ外来窓口数比較と窓口へのアクセスしやすさに関する考察
別件でストーマ外来窓口の調査を行っていた折り、都道府県別でストーマ外来窓口を検索できる便利なサイトを利用させていただきました。日本全国を網羅し、ストーマ外来窓口の登録数の多い3つのサイトをご紹介します。
それぞれの登録件数は違っており、エリアごとに強い地域があり、登録数を見比べてみても面白く感じました。今回は、都道府県別の登録数と、各都道府県別の可住地面積データから、各県ごとの窓口へのアクセスのし易さを考えてみました。
1, 都道府県別にストーマ外来を検索出来るサイト
①の「StomaCare」は元々は10年ほど前に文部科学省科学研究費補助金を原資として大阪府立大学看護学部により作成されたサイトとのことですが、紆余曲折の結果、現在は日本WOC学会の運営となっています。
「JOA:公益社団法人 日本オストミー協会」からもストーマ外来窓口の検索サービスとしてアクセス出来ます。
②の「病院ナビ」は月に1420万人に利用されているという総合医療施設検索サイトで、検索項目も詳細に設定できます。
③の「Caloo」は独立系サイトですが、ユーザの口コミによるコミュニケーション機能が付随してますので、実際のユーザのレビューによる安心感が有ります。
2020年10月付で国内のストーマ外来窓口登録数はそれぞれ672件、925件、621件となっており、逐次アップデートされるようです。各都道府県別に条件付きで検索でき、ご自宅近くの窓口を調べるには非常に便利ですので一度ご利用されてみたら如何でしょうか。
下の表1にそれぞれのサイトに登録されているストーマ外来の窓口数を都道府県ごとに調べた結果を載せておきます。具体的な登録医療施設情報に関しては、各サイトにてお調べください。
それぞれの都道府県の登録数で最も多い件数データの背景(セル)をベージュに色塗りしてあります。
都道府県別では東京都が1番多く、max91の外来窓口が登録されています。次いで福岡県の85と続き、ざっと見るとやはり大きな都市を有する都道府県に多い傾向が見て取れます。
逆に少ない所は高知、徳島の4か所で、これらの県に在住のオストメイトの方々は、外来窓口に訪問するだけでも苦労されているのではないかと思った次第です。
そこで全国の各都道府県別にストーマ外来窓口へのアクセスのし易さがどのくらい差があるものか、おおよその傾向ですが算出してみました。各都道府県のオストメイト人口当たりの窓口数も地方自治体の集計では出せると思いますが(全国ではおよそ25万人のオストメイトが存在し約1,000か所のWOC窓口があるとすると1窓口当たり250人程の担当となります)、今回は窓口へのアクセスという観点で机上の計算をしてみたいと思います。
算出法は、各都道府県の山林などを除く可住地面積データが有りましたので、窓口一つ当たりがカバーすべき可住地面積を割り出し、そこから窓口への最長(平均)距離を算出しました。その距離を平均時速30kmでバスや自家用車で窓口に通うと仮定し、その際の時間を算出した結果が表1の最右欄です。
これはあくまでも平均値であり、場所によっては誤差を大いに含みますが、一つの傾向を示すデータとして皆さんの居住地の状況を見て下さい。
表1の窓口へのアクセス時間をもとに、表2には都道府県の通院アクセス時間の分布を示します。
全国平均では通院のために30分から40分あたりが最も多い状況ということが言えますが、40分から60分を要する都道府県も10存在します。
表3には、表1の結果から全国の窓口数および、アクセス時間のBest5, Worst5をそれぞれを抜き出してみます。
これを見ると、窓口が一番多かった東京都がやはり最もアクセスに優れ、車で最大11分もあればいずれかの外来窓口へ行けることになります(あくまでもデータ上です)。
大阪府、神奈川県も同じ理由で、アクセサビリティで上位に位置します。一方窓口数では全国4位の北海道は、可住地面積が広いことから、窓口へのアクセス時間では47位となり、東京の5倍強の時間が必要という結果となりました。広大な北の大地の移動の大変さが伝わってきます。
岩手県は窓口数が全県を通して12か所ありますが可住地面積が大きいことからアクセス時間が伸びました。徳島県、熊本県、青森県については窓口の絶対数が少ないことに起因します。
この値はあくまでも平均値ですから、実際の通院にはもっと時間を要する方もおられるかと思います。全国の医療施設は10万を超えていますが、現時点のストーマ外来窓口数はその中のおよそ1%でしか開設されていないことになります。この数字はもう少し上がっても良いように思いますね。
あるいは現政府が進めている行政のデジタル化から派生して、ネット経由で遠隔治療・診断が緩和されれば一挙にこの問題は解決されるかもしれません。従来窓口への訪問が諸般の事情でかなわなかったオストメイトの方々が気軽に相談できる環境が実現されることを望みます。
以上