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12.122017
ストーマパウチ各社レポート: マーレン(ソルブ株式会社)
各社パウチの製品ラインアップの中から幾つか主要モデルをピックアップし、それぞれの製品の特長、各メーカー間のパウチ比較実験結果、装着・使用した際の使用感などをレポートしていきます。
Pick-upしたMarlen製品:ウルトラマックス ドレナージバッグ/スーパーフラット ドレナージバッグ
米国に本社を置くMarlen社の製品を国内ではソルブ株式会社(米国サイトではMarlen Japanとして記載)が販売している。
各社のパウチ長比較では最大であったこのUltraMaxシリーズだが、米国では平均身長が日本人より高いため、更に2cmほど長いMegaMaxが存在する(日本国内では未販売)。
■ マーレン社の主要パウチ製品のラインアップ
製品ラインとしては、“ウルトラマックス”、”ウルトラライト”の2シリーズがあり、パウチバッグの形状は全ラインナップとも共通仕様で、各ラインで排気フィルターの有無、排出口形状で製品番号が変わる(下図参照)。
“ウルトラマックス”シリーズ下の”ドレナージ”、”ウロストミー”の面板にはフラットタイプと浅型凸面タイプの2種類があり、”スーパーフラット”は”ドレナージ(フラット)”の面板の裏側に付属する補強版を取り除くことで、薄さと柔らかさを実現する。皮膚保護剤は、全てアクアタックハイドロコロイドと呼ばれるものである。
“ウルトラライト”は、深型凸面と呼ばれるディープコンベックスタイプの面板の全周を保護テープが覆っている。皮膚保護剤はウルトラマックスと同様のものが使用されている。
1、ストーマパウチ(バッグ)本体
パウチバッグ素材としてラミネート構造なのか、単一フィルムなのか不明であるが今回の試用パウチの中で最も薄く(カタログ記載値:0.49mm)、軽量と思われる。
スーパーフラットのみ、両面不織布で、その他は表面側は透明で、中央付近に排出口を折りたたんで収納するための上下とも解放された透明フィルムが付属している(↓写真の赤矢印)。このフィルムが多少カサコソ音を大きくている。
薄い不織布はなめらかで手触りが良いが、スーパーフラットの両面不織布の不透明タイプでは、表(おもて)面の不織布は上下2つに開口が有り、上の解放部からはストーマの様子を見るため、下の開口部は折り曲げてバッグを小さくたたむためのものである。
写真5の不織布の下に隠れている面ファスナー(③b)は、直接上の不織布と接触、接着してしまうことがあり、その際には剥がすのに苦労する。
コロプラスト社も同様な構造を取っているが、面ファスナーとの接触面はラミネートフィルムで覆われていて問題ない。スーパーフラットの不織布あるいは面ファスナーの張り付きに関しては是非改善を望みたい。
2、面板
ウルトラマックス(白色面板)とウルトラマックス スーパーフラット(半透明面板)の面板は外観上違って見えるが、ウルトラマックスは乳白色のプレートを面板の裏から貼り付けたもので、皮膚保護剤は同じものである。成分に関しては本社サイトでも詳細説明は無く、”hydrocolloid(親水コロイド)”とあるだけで、その他疎水性ポリマー等の詳細に関しては不明。これら面板は膨潤タイプで吸水後も溶けない。
ウルトラマックス スーパーフラット(半透明面板)の面板は、保護シールを剥がすと非常に柔らかいことが分かる。腹壁に皺やくぼみ等が存在する場合に適しており、ビーブラウン社のフレキシマアクティブと並び、初期タック性能は高くぴったりと張り付く。半透明であるため面板の吸水の進行具合が目視でわかり便利である。
ウルトラマックス(白色面板)は、面板の補強板(バッキングシート)が厚めのため、腹壁の複雑な形状への追従は一段落ちるが、面板とパウチの接合部の両脇にベルト留め具が付属し、腹部をしっかりと押さえることが出来る。
この留め具は補強のためストーマ孔周辺部を10mm幅で囲むリング状になっている。面板全体は柔らかく、手触りも良いが、ストーマ周辺の白色プレートは比較的硬めで、ストーマ周辺部が複雑な形状をしていた場合は、皮膚保護剤を若干浮き上がらせる様に作用してしまう。
実際の試用後の面板の様子を見てみると、わずかにストーマ周辺部への排泄物の回り込みが認められた。
弊社の面板吸水実験の際には、初期ストーマ孔35mmが20mm~25㎜程度に縮小し、更にストーマ孔周辺部には波上の皺が寄って、ストーマを排泄物から守ってくれるよう作用している事が観察できた。
写真2は面板を水に浸し7時間経過後の様子。
最近ウルトラマックスドレナージラインに追加されたシャロ―コンベックス薄型凸面は、ストーマ周辺部の直径60mmが高さ5mm程の凸形状になるよう補強板で成形されており、複雑な腹壁を持つストーマ周辺部ではその接着が多少心配に思えるが、装着直後は凸形状がはっきりわかるが、しばらく時間がたつと馴染んでくる。面板の柔らかさはウルトラマックスのレギュラータイプとスーパーフラットの中間ほどで、純白のバッキングシートは装着時に周辺部が若干波打つ。
使用後の面板は、多少粘着きがあり、特に腹壁部にはかなり皮膚保護剤が残り、拭き取りは他社のパウチに比べ手間取る。
3、排出口(ドレナージタイプ)
排出口長は、全社中最小サイズで57mm。両端の樹脂プレートは柔らかく、イーキン社同様開口のためのタブが付属している。開口長が短すぎるのではないかと懸念されたが、その柔らかさのため非常に排出作業は楽である。
排出口の上部5cmは不織布に覆われておらず、裏面はベージュで表(おもて)面は透明なフィルムで構成されている。排泄物を確認するため一方を透明にする必要があるのであれば、裏表を逆にしたらどうだろうか。表面が透明になっていると、汚れラインがこの部分に存在しているため、内の排泄物が見えているのか、外部に付着した汚れなのかを判別しにくい。
排泄物の確認作業と日々の拭き取り作業では圧倒的に後者の頻度の方が多く、ここは不透明の方が良いと思う。
4、排出口留め具(ドレナージタイプ)
イーキン社、コロプラスト社と同様の構造を持ち、パウチの両脇から伸びたタブでもう一方の面ファスナーに圧着するタイプである。両方とも樹脂製の面ファスナーで、接着力は程よく、剥がし音も大きくない。
タブ状の面ファスナーを雑に取り付けると、露出したままのファスナー部分が不織布に接着することが何度かあった。バッグ本体の部でも述べたが、面ファスナーと不織布の材質的な検討を望みたい。
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