Tips
6.52021
オストメイトの日常生活用具等給付券の郵送システムについて考える
メディケア製品代理店の知り合いの方からオストメイト用の日常生活用具等給付券のデジタル配布が可能にならないかとのメールをいただきました。実はこのTipsは既に半年ほど前に仮upしていたのですが、後程述べます理由でこのタイミングでのupとなりました。
ご存じのように、生活用具給付券は半年に一度、オストメイトの方へ地方自治体/市町村の福祉部門より郵送で届き、それに署名、捺印後に各委託業者(代理店)に送付するというものです。市町村によっては、この郵送作業も代理店に委託されているところもあるそうです。
年間延べ50万人(25万人×2回/年)に各福祉部門から郵送され、受領者はこれを各委託事業者に再送付するという作業、これらがデジタル化されれば、マンパワーを始めとする大幅な資源の節約になることは明らかです。
2年前のコロナウィルス発生を機に日本国内行政のIT化の遅れが改めて浮き彫りになった次第ですが、近い将来行政のデジタル化のトレンドに乗ってこれらの作業も簡易化されることを願います。折しもSDGsが叫ばれ始めた昨今、この問題に関して少し考えてみたいと思います。
本件を完全なデジタルシステム(DX)化への取り組みとすると、残念ながら非常に多くの議論と労力、そして時間が必要となります。
オストメイト限定で話を進められると話は早いのですが、公的資金(税金)を投入するからには、すべての障害者を網羅するシステムから発想せざるを得ないためです。
仮にこのDX化法案が可決された場合にも、推進力に勢いはつくものの議論もシステムも大きくなり、結果的に多くの時間とコストを要し、成果物は面倒で使いづらいものに仕上がる、という残念な結果になってしまいがちです。
長期的には行政のDX化の議論の中で徐々に改善されていくはずですが、まずは少しずつプロセスを簡易化できないでしょうか。SDGsの一つとして小さなことからコツコツと、でも良いと思っています。
まずはオストメイトが受け取ったチケットを代理店に送付する作業に関してです。
オストメイトの皆さん、代理店の方々には多少新たな手間が発生するのですが、
Step1,従来通り受け取ったチケットに署名、捺印する
Step2,これをデジカメまたはスマホでデジタルイメージとして写真撮影
Step3,その写真データを代理店に送付
Step4,代理店側で、プリントアウトした写真データを使用して、地方自治体に報酬申請
地方自治体の現配布システムには一切変更を与えないため(これが大事です)、新たな予算を用意する必要もなく、これを許可するだけで施行可能かと思います。またこの方法は、あくまでもオプションとして、これを受け入れたくないオストメイトは従来通りの郵送方法もとれる、という選択肢も用意することで、デジタルリテラシーが時代とともに向上することで郵送人口も減ってくるのではないかと思います。
このように地方自治体のシステムの改変が無く、オペレーションだけを変えることであれば、すぐにでも検討可能となるのではないでしょうか。
このプロセスで省けるものとは、オストメイトの方々がチケットを郵送する手間と郵送代、代理店側の開封作業にかかわる手間程度ですが、とは言え、年間延べ50万通程の不必要な郵送代max5,000万円程の節約にはなります。
代理店側の管理について考えますと、もともと契約オストメイトに紐づいた製品購入データベースは所有しているはずですから、当該チケット誤使用は防げると思っています。よって後はファイルをプリントアウトして原本として管理するだけです。
その後これに続くDX化に向けた取り組みとして、地方自治体から各オストメイトへのチケットの電子送付や代理店からの電子ファイル受付などが考えられるのではないでしょうか。
厚労省への問い合わせを試みましたが、全国の地方自治体を主導して取り扱う部署を探し出すことが出来ませんでした。色々話は聞いていただけるのですが、最後は各地方自治体の判断ということでなかなか要領をえません。これが本tipsの公開が遅れた理由です。
その間、都内の区役所内の障害者支援係に相談してみたところ、(各区の支援課の公式見解とするわけにはいかないのですが)担当者ごとに、
代理店がOKならよい、という柔軟な対応をされる区もあれば、東京都の障害者支援係の会議が定期的にあるので、その場で要望があったことを会議で取り上げる、と前向きな区、あるいはルールだから受け入れられないという対応等かなりバラバラな印象を受けました。
また関西地区の政令都市も含んだいくつかの市役所の対応も調べていただきましたが、二重請求を防ぐために原本のみの受け入れ、あるいは原本が基本ルールとなっているためそれ以外は受け入れできないとの返答だったようです。
ポイントは、”二重請求、誤請求を防ぐためのチケットの管理”に関しての定めだと思いますが、未だこの案件を権限をもって主導する部署がどこなのかが明確ではありません。
少しづつ作業を簡易化していく、という視点で今後も様々な分野の方々からお知恵を拝借できればと思っています。
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