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10.122023
最近のパウチ・トレンドは”柔凸”?
”柔凸”パウチ特集
”柔凸(やわトツ)”パウチとは通称で、「軟性凸面型装具」を意味します。要は従来の凸(コンベックス)タイプに比べ柔らかい凸型面板を持つパウチです。
以前タイプ別“1ピースパウチ”の価格比較で、全メーカのパウチ価格表を作成中のこと、各社とも「軟性凸面型装具」が新たな製品ラインアップに加わっていることを不思議に思っていました。
その後ある代理店にお伺いしたところ、やはりこの傾向は存在するようで、更に某大学病院に勤務されるWOCナースの方にも教えていただき、”柔凸”は確かにここ数年のパウチトレンドと言って良さそうです。
国内で入手できるパウチはアルケア社を除き、他全て海外製品であることを考えると、これらメーカがこぞって市場へ投入してきたということは、国内のみならず世界的トレンドとも言えるかもしれません。
今回は、この面板の特徴・効用と、各社の”柔凸”パウチをご紹介します。
通称「柔凸」は、従来からあった「硬性凸面型装具」ほど硬くなく、且つストーマ周囲のしわ・くぼみに対応できる「平面型装具」ほど柔らかくないものの、ストーマ近接部を少し押さえることができるということで、ここ数年使用されるケースが増加しているそうです。
硬性凸面型装具がストーマ周辺腹部をグッと押さえつけるイメージに比べ、軟性凸面はストーマ近接部に優しくそっと手を添えるイメージを想像してみてください。
近年の高齢者ユーザの増加、抗癌剤治療で手先の巧緻性が低下するケースにも、平面型装具+皮膚保護剤シールの代わりに「軟性凸面型装具」1枚で対応でき、「シンプルケア」として時代のニーズにも合致するとのことです。更にストーマ周囲の皺を伸ばしたいけれど腹壁に脂肪がない方にも適しているため、幅広く活用されているようです。
従来よりWOCナース間では、アルケア社の「イレファイン」シリーズが「柔凸」とは謳っていなかったものの、凸面型であるにもかかわらず、柔らかいということで需要がありました。その後ダンサック社の”ノバライフ1フィット”やイーキン社の“イーキンパウチコンベックス”、ホリスター社の”やわぴた”など、各メーカーの柔らかい凸面の導入がはじまり、ここ最近「軟性凸面型装具」という単語も使われだしたようです。
1,「軟性凸面型装具」と「硬性凸面型装具」の違い
”柔凸”(「軟性凸面型装具」)は、高さのあるストーマにも対応でき、凸面高は3mm~7mm程度と”硬性凸”に比べ比較的浅めのものが多い品揃えとなっています。従来のコンベックスタイプと皮膚保護剤の成分が異なるものもありますが、一番の違いは、凸型を形成する樹脂の素材やサイズにあります。
分かりやすい例が、右の写真のアルケア社の軟凸と硬凸の例で、軟凸は”セルケア1・TDc”、硬凸は”ユーケア・TDc”の透明パウチで、ストーマ孔周辺のリング径や大きさ、深さが違うことが分かります。更に指でストーマ孔を中心に折り曲げてみると、その柔らかさの違いも容易に体感できます。
2,各社”柔凸”パウチ一覧
下の写真ではメーカ各社の代表的”柔凸”パウチの1例を挙げます。
以下、メーカ別に「軟性凸面型装具」一覧表を貼付します。
●アルケア
アルケア社の”柔凸”の凸高は、いずれも3mm/4mmと、”硬凸”の6mmに比べ浅めであることが分かります。
●イーキン
従来の”イーキンパウチ コンベックス”に”イーキンドット コンベックス”が加わりました。小児用もあり、凸高は3mmと浅く抑えてあります。
●コロプラスト
センシュラ ミオ1傘下にのみ、コロストミー、イレオストミー、ウロストミー用にそれぞれ3種類のタイプがそろっています。ソフトとライトは凸高さは同じものの、
ソフトは、ストーマに高さはあるものの、周囲の皺、窪み等を軽く押さえたい用途に、ライトは、ストーマに高さがなく、同様に皺、窪みを押さえる力が必要な場合、として使い分けるとのことです。
●コンバテック
●ソルツ
ウロストミー用パウチのみ膨潤タイプの面板が付属しますが、その他は溶解タイプです。
●ダンサック
ノバライフは”柔凸”を代表するパウチブランドです。ノバは全て”硬凸”となっています。
●ホリスター
”やわぴた”=”柔凸”で、モデルマフレックスには”柔凸”はありません。
●ビー・ブラウン
近年溶解タイプの”フレキシマ やわ凸”が国内市場に投入されました。
●マーレン
マーレン社の凸高は、フリーカットのストーマ孔の径に依存し高さが代わってきます(任意に変えらるのものではありません)。
3,最後に
あらためて各社の”柔凸”パウチを調べてみますと、その発売時期から大いに近年のトレンドとも言えるべきことを実感しました。
今現在も平面タイプのパウチと皮膚保護剤シールの2つで対応されている方も多いと思いますが、ストーマの高さがある方でも今回の”柔凸”一つで対応可能な場合もあります。
是非興味のある方は、担当の看護師さんに相談されたら如何でしょうか。