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11.162017
ストーマパウチ使用レポート:イーキン
各社パウチの製品ラインアップの中から幾つか主要モデルをピックアップし、それぞれの製品の特長、各メーカー間のパウチ比較実験結果、装着・使用した際の使用感などをレポートしていきます。
Pick-upしたEakin(イーキン)製品:フラット ドレナブル/イーキンドット フラット/フラット ワイド
イーキンドットの試用レポートを追記しました(2021年5月)
国内販売開始からパウチの品揃え数が少なかったイーキン社だが、2020年12月1日より新製品として、ユニークな面板が特徴のイーキンドット ドレナブル及びイーキンドット ドレナブル ワイドが商品ラインアップに追加された。
コロストミー、イレオストミー用ともにストマ周辺の状態によりフラットタイプとコンベックスタイプの2種類が用意されている。発売後5か月が経過したが、イーキンドットの全種類ラインアップはストマケア販売会社のサイトでも扱いがまちまちで、意欲的な製品だけにユーザへの告知をイーキン社主導でやられてはどうだろうか。
1、ストーマパウチ(バッグ)本体
■ イーキンパウチ ドレナブル
イーキンパウチ(写真E1, E2)は、今回の全社レポートで試用したパウチの中では容量が650cc(実測値)と最も小さく、他社より20%~30%小さい。排出口のパーツや排気口など全般的に構成物が小ぶりで、小児用から派生した製品なのでは、と想像を巡らせてしまう。
不織布は全社の中で最もパターン目が大きく、深いエンボス加工が施してあり、手触りが良く交換時まで毛羽立つことも無く優れている。この不織布によりパウチのカサコソ音が気にならない。
また不織布にはスリットがあり、そこからストーマの状態が確認できる。排気口(写真E5)は丸く、先の実験では排気量が全社の中で最も小さい2.9cc/秒/2.1kgであった。パウチ容量も小さいため、80%排気時間の長さも特に問題になる事は無い。
■ イーキンドット
パウチバッグは形状は若干異なるが従来とほぼ同等の容量の標準タイプ(写真E4)と、新たに用意されたマキシタイプ(写真E3:イーキンドットワイド)は、パウチ長が従来の21cmより4.5cm長く、容量は800ccと20%アップしている。不織布、排気口に関しては従来とイーキンパウチと同一仕様。
2、面板
■ イーキンパウチ
半透明で装着前に触ると多少堅そうに思えるが、貼ってみると実は柔らかい。バッグと面板の接合面径が大きいため、面板を張り付ける際の外周部の幅が12mm程しかなく、指で押さえこんでの貼り付け作業がやりづらい。
初期接着力(タック性能)に関しては十分で、しっかりと腹部へ装着できる。面板のバックフィルム上に不織布が貼付されていて手触りが良い一方、面板の吸水具合が確認できないため、この不織布は無くても良い気がする(面板バックフィルムの吸水防止のためか)。
面板の組成は、親水性ポリマーにCMC、ペクチン、疎水性ポリマーにPIBとオーソドックスな配合で、水を吸って溶ける溶解タイプである。
実際の使用では装着後4~5時間ほどで面板の淵から皮膚保護剤がわずかに滲み出てきたが、その後その保護剤は乾燥、硬化し、特に実用上問題なかった。
各社面板耐久実験では、貼り付け後の皮膚保護剤溶解による落下までに84時間(4日と12時間)と、全社を通じ一番早く落下した。この時間の長短に関しては皮膚保護剤の肌との相性と耐久時間のどちらを優先するかで判断されるべきだ、
■ イーキンドット
イーキンドットの一番の特徴はこの面板にある。従来の半透明の面板からクリーム色の面板となりその違いが目視でもよくわかる。
面板のサイズはイーキンパウチの94mm径より大幅に大きくなり、イーキンドット標準タイプは124mm×114mm、ワイドのマキシタイプは129mm×124mmの楕円形で腹壁を広範囲にわたって覆うことができる。
ストーマ周辺の凸上の形態にフィットするよう、写真のように縦横6か所のスリットを設けてあり、装着してみるとこのスリットがきちんと機能して、面板周辺部の皺が寄りにくい。
バックフィルムも材質が変更され、発泡性樹脂を使用したため、手触りも柔らかく、撥水機能もある。
皮膚保護剤は新開発の“skinsmart™ハイドロコロイド”で、肌に優しくしかも長期間の装着が可能になったとのことだ。面板の組成は、親水性ポリマーにCMCとペクチン、疎水性ポリマーにはPIBだけの従来タイプのものにSISを配合させているため、面板が非常に柔らかくなっている。本面板は水を吸っても溶けない。
フリーカットの面板にはさみを入れてみたところ、薄く驚くほどスムースに切れる。実際に装着してみると、面板は非常に柔らかく大きいため、腹部への貼り付けの際には注意深く皺が寄らないよう貼り付ける必要がある。初期タック性は優れており、肌に吸い付くように貼れる。装着感は薄く柔らかくすべすべと肌触りもよく快適である。
装着期間中は面板周辺部から皮膚保護剤が滲み出ることもなく、周辺部の剥がれも観察されなかった。優れた面板のパフォーマンスにより、皮肉的にも面板の交換時期の見極めが難しくなった。
面板の吸水状態は目視では確認できず、手触りが初期から薄く柔らかく、溶解も膨潤も更に周辺部の剥がれも観察できない状態で、唯一面板を上から指で押し続けていると溶解現象が発生したようなぷにゅぷにゅとした感触に気づく。このタイミングあたりが変え時サインかもしれない。
一定期間ごとの交換ユーザが大半と思われるが、従来のイーキンパウチに比べ、耐久性の向上は間違いなく実感できる。
面板の剥離の際には、スリットの存在により腹壁が若干引っ張られる感じが発生するが軽微で、リムーバで問題なく簡単にはがれる。
はがれた面板を観察してみると、溶解も膨潤も観察されることなく、接着面もべとつかずサラサラとした指ざわりをしている。
3、排出口
排出口の表面と裏面ともにコロプラスト社のそれと似た柔らかい樹脂のプレート(⑤、⑥)が張り付けられている。イーキンドットでもサイズ、構造は同じだが、プレートの材質は異なりイーキンパウチの素材より若干硬い。排出口長は65mm。形状が柔軟に変化し排出作業は問題ないが、このプレート幅が15mmと他社よりも狭く、この狭さが拭き取り作業を極端にやり難くしている。
このプレート幅はもう少し広めにほしい。表(おもて)面プレート上部に付属しているタブも小さすぎて、あまり有効とは思えない。
4、排出口留め具
コロプラスト社と同じ構造である。樹脂タイプ(③)とフェルト状化学繊維(④)の組み合わせで、排出口巻き上げ後、排出口脇から伸びた二本の留め具(③)で両脇から留めるタイプである。
簡単に接着、剥がすことができて接着力としてはちょうど良い(コロプラスト社は若干強力すぎ)。
二本の面ファスナー留め具(③)の腕の長さが若干短く、雑な留め方をすると裏の面ファスナー(④)との接着面積が小さくなる。ここもあと数ミリ長くすると使い勝手が改善されると思う。
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PRODUCTS
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