Tips

パウチ面板のちょっと深い話2

膨潤タイプの最期って知ってますか?


オストメイト用パウチの面板の膨潤と溶解
各社のストーマ装具のカタログを見ていると、面板の項で、溶解タイプと膨潤タイプの記述を見ることが有ります。何だろうと調べてみると、溶解タイプとは最後は溶けていくタイプ、膨潤タイプは水を吸収して読んで字の如く、膨らむタイプ。では更に膨潤が進行したらどうなるのでしょう?各社のカタログにはあまりその先の詳しい記述はありません。
丁度弊社でパウチの耐久試験をしている最中でしたので、ついでにその調査も並行して行ってみました。

実験方法

この実験は、5mm穴が複数開いた1mm厚の透明塩化ビニル版に複数のパウチを貼り付け、室温20~35℃、湿度を80%~95%に保ちながらパウチが落下するまでの様子を観察するものです。
耐久時間も興味ありますが(これは後日レポートします:“各社パウチ(面板)の耐久実験”)、面板の接皮側(腹部にあたる面です)の様子もなかなか見る機会が無いので、どういう経時変化が見えるか楽しみでもありました。

実験の目的

①溶解タイプと膨潤タイプの経時変化の観察
②膨潤タイプのパウチの面板の最期(溶けるの、溶けないの?)

実験経過

実験スタートから変化が見え始めるのは36時間後です。穴あき塩化ビニル板を使用した理由は、腹壁からの汗に代わる水分を面板の接皮側に供給するためですが、両方とも36時間を経過したあたりから塩化ビニル板の穴あき部分の保護剤が水を吸って白色に変化し始めます。塩化ビニル板への接着部分も時間と共に本来の茶色から少しづつ白く変色していきます。更に時間が経つにつれ段々塩化ビニル板の5mm穴から水を含んだ皮膚保護剤が飛び出してきます。

下の写真は溶解タイプと膨潤タイプの113時間後の面板の接皮側の様子です。
写真でみる面板の膨潤と溶解
写真M1-1の溶解タイプの面板周辺は塩化ビニル板の穴から皮膚保護剤が飛び出している様子がわかります。また左下部は若干溶け始めています。
面板ストーマ孔の変化についても観察してみました。一つ前のTipsで面板の役割の一つとしてストーマ周辺の皮膚の保護と述べましたが、スタート時の面板ストーマ孔35mmに対し、113時間後の径は、写真M1-1、M2-1のように水分を吸って、それぞれ35mmよりも小さくなっています。

これはストーマ周辺部を排泄物から守る意味で重要な現象です。しかしながら既に4日以上たっているわけで、溶解タイプはピンセットでつまんでみると、伸びることなく簡単に採取でき、溶解が始まってることがわかりました。一方膨潤タイプはこの時点でもまだ弾力があり、ピンセットでつまんでも元に戻ります。(写真M2-1-1)

結局この2種類のパウチは、溶解タイプが実験開始から160時間(6日と16時間)、膨潤タイプが159時間(6日と15時間)と極めて近い耐久時間を示しました。その落ちた直後のパウチの接皮側を写真M1-2とM2-2にそれぞれ示します。写真で見ても溶解タイプは明らかに溶けていることがわかります。膨潤タイプは脱落したにも関わらず、厚みを保ちながら溶けている様子はありません(写真M2-2-1)。
写真でみるパウチの溶解タイプと膨潤タイプ

更に本来であれば腹部に残る皮膚保護剤の様子を、塩化ビニル板の表面に付着した皮膚保護剤の様子で見てみましょう(写真M1-3、M2-3)。
溶解タイプは腹部に相当する塩化ビニル板表面に保護剤が残っています。逆に膨潤タイプは全く残らず、張り付いていた跡が判る角度でようやく跡が見える程度。(写真M2-3-1では正面から見えない接着跡を斜めから見てみたもの。わずかに面板ではなく保護テープの接着跡が見える)

膨潤タイプは脱落する最後まで溶けずにその形を保っていることがわかりました。
では、膨潤タイプは溶けないことから、接着力さえ落ちなければずっと使用に耐えるものなのでしょうか?

実際の使用体験レポートでは、ストーマ周辺は溶けてはいないことがわかりましたが、触ってみると何やら凸凹とストーマ孔の縁が波打っている感触がするようになってきます。膨潤ですから水を吸って膨らむわけですが、面板の厚み方向(Z軸)のみに膨らんでいけば良いのですが、平面方向(XY軸方向)にも伸びるわけで、元々腹壁と接着していた部分との間で応力が発生してしまいます。

この力が面板を波状に変形させ、それまで張り付いてた皮膚表面との間に隙間が出来てしまいます(写真M2-2上のa)。ストーマ周辺部でうねりが出来ると、その隙間に排泄物や分泌物、水分が入り込み、更に面板と皮膚とを剥がす方向に力が働きます。これが臭い漏れや剥がれを加速しますから溶けなくともいずれ剥がれ、寿命を迎えることになってしまいます。

結論

溶解タイプは確かに水によって溶けていきますが、膨潤タイプは溶けずに膨らんだまま、と言って良いと思います。ただし厳密に言えば”パウチの装着期間内は”、と注釈をつけたいと思います。

この実験後、追加で他の面板実験(*1)を行ってみましたが、膨潤タイプには更にいくつかタイプが有りそうです。長時間の浸水でわずかに溶けだすものも存在します。溶解タイプ以上に吸水能力が高いものや、溶解タイプと膨潤タイプの中間の性質を示すもの、何れとも言い難いシリコンゴムのようなタイプもあり、現在では一概に溶解タイプと膨潤タイプの2種類とは言い難い状況です。ただ使用者の立場で考えれば、だからといって大きな問題が生じることはありません。タイプ云々を気にする事無く、肌との相性、拭き取りやすさ、交換期間等で判断されたら良いと思います。

腹壁の保護という観点では一般的には溶解型の方が皮膚に優しいと言われていますが、近年膨潤型にも画期的な皮膚保護剤も開発されてきており、pH緩衝作用に秀でたものも見られます。色々な面板を試された上で皮膚保護と利便性のバランスを個々の使用者の方がどう判断するか、という事です。

以上
*1:溶解、膨潤後の面板を写真でみる

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面板のちょっと深い話3 – part3 – Upしました

面板の吸水力を数字で体感するための吸水力Indexの話です。

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