Tips

パウチのガス抜きフィルターの使い方


パウチのガス抜きフィルターを機能させる

ストーマパウチのガス抜きフィルターが有効に機能するための方法を考えます。

□ 関連Tips: ガス抜きフィルターって機能してる?

排気口(ガス抜きフィルター)は、パウチ内のガスを外部に排出し、必要以上に膨らむバルーニングを軽減する役割を果たします。またその際に、ガスをそのまま排気するのではなく、各社独自の消臭フィルターを通して外部にガスを放出します。

● ガス抜きしないとどうなるの?
たまにバルーニングが発生した状態で放置したまま、ガス抜きしないとどうなるの?、とのご質問を受けることがあります。
起きている状態で、パウチをパンパンに膨らせたまま放置しておくことは(動きづらく)考えにくいことですが、就寝中にガス圧がどんどん上がっていった果てには何が起こるでしょう?しかもガス抜きフィルターが機能しなかったら—。

 1,ストーマバッグが破裂することはありません。ラミネート構造(複数層)で非常に丈夫な素材を使用しています。
 2,一番起こりがちな現象は、面板の一部が腹壁から剝がれ、その隙間からガスが抜けていくことです。この際に皮膚保護剤と腹壁は無理に剝がされることにより、皮膚が傷つく恐れが生じます。
 3,次に考えられるケースは、めったに無いとは思いますが。排泄口の面ファスナーやクリップなどの止め方が緩かった場合、排泄口が開いてしまう場合があります。この状態は是が非でも避けたい状況です。

これらを避けるためにもガス抜きフィルターが機能する状態を保つことが重要です。

各社パウチの排気口とガスフィルター

パウチ排気口

写真は、国内で入手可能なパウチメーカの排出口です。

各写真右上部にはパウチ購入の際に付属品として同梱されているシールも参考に同時撮影しています。これはフィルターシールと呼ばれ、排気口に貼るもので、①入浴時に外部からの水の侵入を防ぐ目的と、②内部からのガスの抜けすぎを防ぐために使用するものです。

殆どのメーカは単一種類の共通の排気口を使用していますが、コロプラスト社とコンバテック社は二種類の排気口を有します。新製品パウチの開発の際に、製品コンセプトに沿った新しい排気口が開発されたものと思われます。

各社の特徴的な機能をピックアップします。

1,アルケア社:目詰まりを起こした際は指で数回つまむことで通気性が回復する、とカタログに表記されています。しかしながら実際に使用して、その機能回復を実感する事は難しいように思います。外観の変化もなく、もともとガスが勢いよく排気されるパーツではないからです。

2,コロプラスト社:写真③は、センシュラミオ系に使用されている排気機構で、青の点線で囲まれた部分に大きなプレフィルターと呼ばれるスポンジ状のリング(B)が付属し、ガスを上部に誘導かつ本フィルターであるメンブレンと活性炭からなる排気口(A)を目詰まりから保護します。

メンブレンとは、薄膜を意味しますが、排泄物が漏れ出すことを防ぎます。液体遮断性の高い膜を積層することで、排泄物による目詰まりや漏れを防ぐ役割を果たします。

写真④はセンシュラ1の排気口で、パウチの前面ではなくお腹側の不織布の間に小さな開口が存在します(C)。

3、コンバテック社:写真⑤はインビジクローズ,モルダブル用、写真⑥はやわらかシャローの排気口で長さは約7cmあります。いずれもメンブレン付きフィルターとなっています。

3、ダンサック、ホリスター社:資本関係のある両社ですので、おそらく同じフィルターではないかと思います。最大の特徴は、内側、外部とも防水機能を有しており、入浴の際にもフィルターシールを貼る必要がありません。従ってシールも付属していません。

排気口(ガス抜きフィルター)を有効に機能させるために

特に就寝時のバルーニング防止策として、

1,なるべくフィルターに排泄物を接触させない
フィルターの目詰まりを避ける意味で、排泄物がパウチの上部に行かないようにする、ということです。就寝時など横になっている際は難しいことですが、ストーマから排泄が始まった際は、なるべく排泄物が下に落ちる(パウチが腹壁から垂直にぶら下がっている)ような姿勢を意識することで、多少でも改善が図られるものと思います。

2,入浴時は排気口を水分から守る
弊社の排気口に関する実験で、フィルターを水に濡らした場合、排気機能が-25%~-50%程低下する結果を得ました。就寝前の入浴の際には面倒でも付属のフィルターシールを貼ることをお勧めします。

3,パウチ(バッグ)に微圧を加え続けておく
パウチ(バッグ)に圧力を全く加えない場合、内部のガスの排出はほどんど行われません。バッグにわずかでも圧力が加わることにより排気機能が発揮されます。この意味で就寝中などは腹帯などの着用が有効です。ただしあまり強く締め付けすぎるとストーマからの排泄に障害を起こす可能性があるため、ストーマに被らないよう、バッグの下部に圧力を加え続けることが有効です。

4,適切な装着期間で交換
やはり排泄物の付着により、機能は劣化します。適切な期間でのパウチ交換を心がけましょう。

以上

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