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各社パウチのカサコソ音を比較

パウチの排泄物処理の際に発生するカサコソ音。自宅のトイレであればあまり気にしなくても良い音ですが、一歩外へでて会社のトイレや公衆トイレを使用する際には非常に気になるのがこの音。

各社のパウチを比較しながら敢えて擦りながら音を立てて触ってみると、そのカサコソ音が微妙に違う事に気が付きます。また不織布/カバーがあるものと無いものでも違って聞こえます。今回は各社の未使用のパウチを使って、騒音計で簡単な音圧レベルの比較実験をしてみました。

1, 実験の目的

1、 各社パウチのカサコソ音のレベル値と傾向の把握
2、 不織布/カバーの有り・無しではカサコソ音に差が生じるかの検証
3、 実使用時のカサコソ音に関する考察

2, 実験環境

室内の反響音をなるべく拾わないようにするために簡易無響室を作ってみました。厚み15cmのウレタン板を使って縦・横・奥面の5面に配置し、内面各25cmの立方体の中で、奥に騒音計を置いて測定します。使用した騒音計はサンコー製の廉価な騒音計で、比較データで使用する単位dB(デシベル)は音圧の強度を表す単位で、これに人間の聴覚の感度補正を施しdBAとして表します。

この無響室の中でパウチ前面を騒音計に向け、擦る際に騒音計に風が当たらないように注意しながらパウチを30秒間程擦って、各パウチ毎に最大値を3回計測し、その平均値を求めています。参考までに、本実験を行った際の実験室の温度は26℃、湿度は60%、無音時音圧レベルは31dBAでした。
カサコソ音比較実験用オストメイト用パウチ

実験には図1に示すような国内で入手できる8社の各社のパウチを用いました。
パウチの構造、素材はおよそメーカ毎で共通していると思いますので、メーカ毎の傾向はつかめると思います。ホリスターの“やわぴたFT“に関しては、モデルマフレックスと外見が違っていたので試料として別途選定してみました。
不織布付きオストメイト用パウチ各種

またパウチに添付される不織布は、静穏性や快適性の向上のため、と言われていますが、不織布がはたして役割を果たしているのかも実験で試してみたいと思っています。同じモデルのパウチで不織布を有するものと無いものが3組ありましたので(図2)、これらのそれぞれの値を測定して比較してみたいと思います。

コロプラスト社はセンシュラ ミオ 1を試料として使用しましたが、正確には不織布ではなく樹脂性のカバーで覆われている物ですが、ここでは敢えて不織布という括りで話を進めていきます。

3, 各社パウチのカソコソ音比較

ここで述べるカサコソ音の大小を表すデータの値は、距離によって大きく変わるため、絶対値はそれほど大事ではありません。耳元25cmの距離でパウチを擦る音ですから、かなり大きく感じます。あくまでも相対的な指標としてご理解ください。また相対比較するために、パウチ以外にも、タオル、デニム地の布、コピー用紙、コンビニ袋を同様の環境でクシャクシャと擦った際の音圧強度も測定してみました。その結果を図3に示します。

オストメイト用パウチのカサコソ音比較データ

図中のメーカ名の後ろについている〇、×は不織布/カバーの有無を示しています。グラフは音圧強度の大きい順に並べてありますが、不織布の無いパウチが比較的大きめの音を発生して上部に位置し、不織布付きパウチが音圧強度の低い下部に集中している傾向がうかがえます。

本実験では、ダンサック社のノバライフ1、アルケア社のセルケア、コロプラスト社のセンシュラミオ1の不織布/カバーの無い製品が上位に位置しています。またホリスター社のモデルマフレックスとビー・ブラウン社のフレキシマアクティブロールアップは相対的に静かなパウチと言えそうです。

この実験では、通常の使用時以上に敢えて大きな音を発生させていますので、材質や構造の差がより鮮明に表れます。この環境下でメーカや不織布のあり・なしにより差はありますが、何れも60dBA台の値を示しました。これらの値は、タオル地やデニム地などの布を擦るよりは大きな音が発生していますが、紙やビニール・プラスティック製の袋よりは小さいという、実際の感覚に沿っていると思います。

カサコソ音が大きめになった上位3種はいずれも不織布の無いタイプのパウチですが、今回不織布/カバーの無い試料4種類のパウチを改めて眺めてみると、様々な事に気付きます。ホリスター社のモデルマフレックスFTとダンサック社のノバライフ フィット1マキシのパウチ表面には細かなエンボスパターンが施されていて、これにより手触りや、カソコソ音の改善がなされていると考えます。

4種類のパウチを手で触ってみると、ホリスター社のモデルマフレックスFTはしっとりとした手触りで、他の3製品と比べカサコソ音の高音部の耳障り感が無いように思えます。実際の測定値でもモデルマフレックスの不織布付きが、今回最も静かなパウチという結果になりました。

アルケア社のセルケア1・TDとダンサック社のノバライフ1フィットマキシは、手触り、カサコソ音も極めて似たものでした。コロプラスト社のセンシュラ ミオ 1は、手触りでは一番厚みを感じます。更に、パウチの構造で、他の3製品は、パウチ内はシンプルな空洞ですが、ミオ1は、パウチ内面に防臭フィルター層があり、2点で接着され、パウチ外面には収納用カバーがパウチの半分ほどの大きさで付属しています。この構造がこすり合わせた際にカサコソ音を増加させる要因になっていると思われます。
オストメイト用パウチのカサコソ音比較データ

本実験では、カサコソ音の最大値を測定しましたが、次に通常の使用時程度のカサコソ音を発生させ、Maxの値とそれぞれのパウチごとに比較してみます(図4)。

これによると、Max値では62.3dBA~68.4dBAあったパウチ別の差(6.1dBA)が、58.0dBA~60.5dBAと2.5dBAの範囲に収まっています。またその絶対値も、60dBA台にあった大半のパウチが50dBへと平均で6dBA減少しています。通常の使用状態を模した実験ではカサコソ音のパウチ毎のばらつきは非常に小さくなっていることが分かります。
オストメイト用パウチのカサコソ音と不織布

図5には不織布がある場合と無い場合の音圧強度の比較データを示します。確かに不織布は、外部へのノイズの減少に役立っていることがわかります。ただし、パウチの音を気遣っている場合の-6dBAに比べると平均-2.5dBAという結果となりますので、気遣いしながらパウチを取り扱う方が周囲への音漏れには効果的であることがわかります。

最後にカサコソ音を、無響室ではなく実際のトイレ内での使用において実験をしてみました。トイレ内では、狭い空間で壁の反響音が加わるため、条件、結果は更に悪い事が予想されるためです。
この実験では、3種類のパウチを使い、0.9m×1.8m×2.4m(高さ)の個室トイレの中央部に騒音計を置き、25cmの距離をおいて測定しました。

その結果、
①  簡易無響室でのカサコソ音のMax平均強度: 66.5dBA
②  トイレ内でのカサコソ音のMax平均強度: 70.3dBA
と、狭い空間で壁からの反響音も加わり、無響室に比べ4dBAほど大きな値を示しました。


更にトイレの外側で厚さ3cmの木製ドアを挟んだ際の音圧レベルを測定してみると、平均44.4dBAという結果を示しました(無音時音圧レベル:32dBA、音源からの距離:約50cm)。更にこの実験ではトイレ内でカサコソ音を最大限に発生させての測定のため、実使用時は40dBA程度と思われます。


実際にドアの外側からパウチのカサコソ音を聞いてみると、耳障りな高音(高周波部分)部は、ドアでかなり吸収されているようです。ドアの材質の違いや、公衆トイレのように、天井部分がオープンな環境では違った値を示すと思われますが、耳元でタオル地を擦る音程度ですので、あまり気にはならないレベルなのだと思います。また今回はカサコソ音の周波数測定まで及んでいないため次回の課題としたいと思います。

4, 実験まとめ

1, 各社パウチのカソコソ音のレベル差は存在する(本実験ではMax値で62.3dBA~68.4dBA)が、実使用時環境では58dBA~60.5dBAと2.5dBAほどの範囲にとどまり、大きな差は認められない。

2, 不織布・カバー付きの方が静穏性に優れ、-2.5dBAの効果がある。

3, トイレの外部でのカサコソ音の漏れは40dBAと考えられ、使用者が気にするほど大きな音が外部に漏れていない。

以上

一度家族、友人にお願いして、未使用パウチをトイレ内で擦って音を立ててもらい、ドアの外でその音を聞いてみるのは如何でしょうか。意外と本人が気にするよりもずっと小さな音である可能性もありますね。


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