Tips
11.162017
ストーマパウチ使用レポート:コンバテック
製品:ConvaTec エスティーム インビジクローズ ドレインパウチ 中長期 プレ/カスタムカット
1、パウチ(バッグ)本体
初めてこのパウチを使用する際には、パウチ前面にあるポケットやその下にある2本の熱圧着されたようなマーカ(③面ファスナー表)が何のためのものか迷ってしまう。最終的にはこのポケットをひっくり返して排出口を覆う(写真CN5)ためと理解したが、どこにもその説明が見当たらず、確信も持てなかった。
それ故に排出口が上向きのまま、剥がれたり、不織布と排出口の面ファスナーが接着したりとかなり使用感が悪かった。説明があるだけで解決する問題であり、もったいない。その後英語サイトを調べていたところ、かなり深い階層に唯一ビデオによる説明を見つけることが出来た。
(https://www.convatec.com/videos/ostomy-videos/)
(2018年4月追記:コンバテック社の総合カタログの”各ストーマ袋の閉鎖具の使用方法”というページに収容方法の説明が図付きでありました。)
排気口には予め水濡れ防止用のテープ(⑦)が貼られており、使用開始の際は忘れずに剥がす必要ある。不織布は硬めで表面はなめらかで、肌触りも良い。ただし使用途中で徐々に毛羽立ちが生じる。そしてこの肝心の包み込む作業に関しては、不織布も硬めで、お腹に向かって裏返す作業はあまりやり易いとは言えない。
2、面板
面板はユニークで、プレカットタイプではその径は76mmと他社と比較すると小さく、その周囲をアクリル製保護シールで腹壁に張り付けるものである。面板の厚みに関しては今回調査した全社を通じて一番厚くて2mmある。皮膚保護材は“デュラプラス™”を使用と記載されているが、それが何なのか、本社のwebサイト上にも詳しい説明が無かった。
面板の話から若干逸れてしまうが、エスティームのパウチ型番のネーミングが非常に分かり難く、ユーザからはどう違うパウチなのかが判断できない。上の写真の3種においても、明らかに面板形状が違うにも関わらず、パウチ名は全てエスティームから始まりインビジクローズドレインパウチまでが一緒で、後半わずかに違いがあるだけである。国内ユーザ向けにはエスティーム1,2,3とした方がよほど分かりやすい。またこれらの何が違うかの説明もカタログを見ただけではわからない。この分かり難さにより検討段階の初期で敬遠してしまうユーザがいるのではないだろうか。
話を戻します。中長期の皮膚保護剤の組成は親水性ポリマーとしてCMCが、疎水性ポリマーとしてPIBとSISが配合されている。一般的にSIS配合の際は柔らかくなるイメージがあるが、厚いこともありこの面板は硬い。
更に同種のカスタムカットタイプでは、対応ストーマ径が64mmと大きいため、面板径が98mmと大きく、しかも厚みは同様に2mm厚あるため、装着すると腹壁が引っ張られる様な感じを受ける。このパウチは、腹壁の形状が平坦で、細かな皺やくぼみ等の無いユーザ向けではないだろうか。
この面板周囲にも幅15mm程のアクリル保護シール(⑧)が付属しており、腹壁の状態に影響されずしっかりと腹部に張り付くため装着直後の剥がれを心配する必要はない(タック性を補完するためのものとも考えられる)。
装着してみると、やはりこの面板は厚く硬く感じ、時間が経つにつれ面板が所々で波打つような感触があり、皮膜というより、プレートの感触に近い。
面板耐久実験では、スタートから159時間後、7日目にしてPVC板から剥がれ落ちた。SIS配合とあるが、他のSIS, EVA配合の面板の耐久時間と比べその耐久時間は短めで、PIB成分が大半の面板ではないだろうか(奇しくもほぼ同時に落下したコロプラスト社のアシュラも一部SISとPIBの組み合わせであり、SIS成分の配合比は10%以下)。
落下後の膨潤した面板の様子や、装着感などから腹壁の細かな皺やくぼみ等への対応は若干苦手な面板ではないだろうか。
パウチの交換作業に関しては、保護シール、面板ともに剥がす作業が今回の試用製品の中では一番手間取った。かなりしっかりと接着されていて、剥離液を使用しながら剥がす際にも、他製品のように剥離液を垂らすというより、かなり多めの液を注入するようにして作業を進める必要があった。更には保護シールをはがす際にも若干ピリピリとした刺激を伴った。
寿命後の面板は、厚み、色ともに特に変化は認められず、若干のネバネバ感を伴う程度である。脱着後の皮膚表面にはわずかに接着剤が残るが腹壁の洗浄は容易である。
3、排出口
中長期(写真CN2、CN3)と、フィルタ付(CN4)の排出口の2種類があり、前者は操作性においてはいくつか問題がある。排出口は15mm幅の2枚のプラスチックプレート(⑤、⑥)から更に10mm幅のパウチ素材が伸びている(右写真のA部分)。どうしてこの構造をとったのか疑問であるが排出口の先端が両面ともパウチ素材で柔らかく、それが排出作業をやりにくくしている。
汚れライン数、分散数を増やしているのもこの構造にあり、汚れラインの転写が面ファスナー近くに存在し、拭き取り作業も他社のものより手間がかかる。
このプラスチックプレートは表と裏でわずかに貼り付け位置を敢えてずらしている。こうすることによって排出口が開きやすくなり、そこには細かな配慮を感じるが、この機能をプレートの先にあるパウチ素材が操作性の上において相殺しているようで残念である。
一方フィルタ付(写真右)の排泄口は、先端まで樹脂プレートが貼付されていて排出作業がやり易い。このプレートの上部が短くなっているのは捲り上げて留める際に、下端部が鼠径部等に当たった際の刺激の軽減のための配慮であると考える。
4、排出口留め具
留め具は3回巻き上げたのち、中央で樹脂同士の面ファスナーで圧着する構造である。他メーカではバッグ本体側から伸びてきた面ファスナーで上から覆いながら排出口を留める構造を取っているが、コンバテック社の構造だと排泄物が溜まって来ると重力で面ファスナーに力が加わって来た際に、どうしても中心部が押され両端が剥がれやすくなる(写真CN5)。これを防ぐ意味でも写真CN4のように折りたたむ必要がある。是非この説明は日本語サイトにも欲しい。
面ファスナーは、両方ともに樹脂製のものを使用しているため剥がし音は全メーカの中で一番小さいが、留める際にはかなり慎重に面ファスナー同士を押し込んで確実に圧着する必要がある。きちんと圧着しないと簡単に剥がれてしまう場合があるので注意を必要とする。
写真CN5のような状態で装着し続けると、面ファスナーの留め口が上向きに露出するため、面ファスナーが剥がれることがある。
更に装着日数が経過するにつれ、残留物が残ったパウチ越しに排出口の圧着作業を行わねばならず、使用感としては良くない。是非この部分の構造は検討いただきたい。
PRODUCTS
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