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パウチの面板用剥離剤の全製品比較-3- パフォーマンスRanking

剥離剤のコストパフォーマンス・ランキング&総合ランキング


 前回の“Tips17-2”では、剥離力という観点からランキングをお伝えしました、今回は実験を通して溶解タイプ、膨潤タイプのそれぞれの面板を剥がすために費やした剥離剤の量と、Tips17の表1の右端データ”1mlあたりの各社剥離剤のコスト”を掛け合わせて、面板を剥離するためのコストパフォーマンス(以下CP)比較を行ってみます。
 それぞれの剥離剤を眺めていると、スプレータイプと滴下タイプでは器の製造原価が違うことは明らかですが、このようなメーカ側の事情は無視して、ユーザーの入手価格に対してパフォーマンスがどうかという観点で話を進めます。予想では滴下タイプが優位と考えましたが結果は以下ご覧ください。

1、剥離費用ランキング

先の実験の剥離力から視点を変えて、今回の2つの試料(溶解タイプ面板、膨潤タイプ面板)を剥離するために費やした剥離剤の費用に関して考察してみます。ここではどんなに剥がれ落ちる時間がかかっても費用が少ない方がランキングの上位に位置します。
表1には2つの試料の平均剥離費用順にランキングを作成しています。
剥離剤コストランキング

 それぞれの剥離剤について、1ml当たりの単価、溶解タイプの試料の剥離費用、膨潤タイプの試料の剥離費用とその平均費用を表にしています。単価に関しては、ニチバンが群を抜いて安く、1mlあたり10円、次いでS&Nの15円と続きます。この費用ランキングでは、ニチバンの単価10円/mlが効いて、剥離力でトップのホリスター、コンバテックを押さえて1位(平均剥離費用:30円)を得ました。剥離には多少時間がかかり、使用量は多いものの、CPが良い製品と言えます。一方2位のホリスター社も33円と僅差で、こちらは剥離力の高さゆえ、少量で面板を剥離したことによりコストが抑えられています。
 次にこの実験で得た各平均剥離費用と、実際のパウチ使用時の費用への換算を考えてみます。
 ① 実パウチの面積は実験で使用した試料の約15倍
 ② PP板実験より実際の腹部では5倍のパフォーマンスの向上
 ③ 実使用量は実験の滴下量の半分(実験では剥離剤の半分は試料からPP板を伝って下に零れ落ちたことを想定)
 この想定下で”実パウチ剥離費用=実験剥離費用×15÷5÷2=実験剥離費用データ×1.5”となり、表の費用の1.5倍程度が実際のパウチ面板の剥離の際のコストではないかと考えます。
下のグラフ1は、表1のデータをグラフ化してものです。
剥離剤コストランキング

剥離力とCPの評価が揃ったところで、最後はこの二つのランキングデータを総合ポイントで表してみます。

最終結果【剥離剤の総合ランキングby Kinokiita Japan】

本実験の最終結果としての総合ランキングです。
表2-1は純粋に剥離力の総合評価です。溶解型面板と膨潤型面板の剥離力(滴下量)と浸透力(剥離時間)のそれぞれの相対%の平均値の和が値になっています。
表2-2は、総合剥離力スコアに平均コストに対する各剥離剤の相対値をスコアとして足した値でランキング付けしています。
剥離剤総合ランキング

このスコアリング方法では、総合剥離力がCPスコアの2倍で重み付けされることになりますが、剥離剤の評価はやはり剥離力がメインとなるべき、との思いからです。ちなみに重み付けを1:1にするとCP順位で1位だったニチバンが2ランクアップし、Trioとニチバンの順位が逆転し、その他は一緒の結果となります。
 結果を見てみますと、総合剥離力ランキングも総合ランキングもほぼ似たような順位となっていて、唯一3Mとニチバンの順位が変わっています。総合1位はホリスター社のアダプト、僅差でコンバテック社のニルタック、次いで3位にコロプラスト社のブラバという結果となりました。実際に実験を行っている際には、”S&Nのリムーブ”と”ニチバンのサージカルのり落とし”以外の面板専用剥離剤はその剥離力に関しては大きな差を実感することがありませんでした。前述した2製品は、一般剥離剤用途も視野に置いているため、成分に違いがあることがその手触りから感じとれます。またスプレータイプの5製品に関しては、容器の大きさも極めて近く、いずれかの会社はOEM製品ではと思っていましたが、実験を通して結果を見ると中身に違いがありそうです。
 今後はこのランキングが実使用時の使用感と合致するものかどうか、実際の腹部使用などの装着実験も交え考えて行きたいと思っています。

実験を終えて
 様々な試行錯誤の末、取りあえず数字に基づく1つの結果を出してみましたが、このようなデータが市場に存在しないため、これが果たして客観的な結果としてお見せして良いかどうか迷いながらもまずは自社サイトで見ていただきます。ひょっとすると方向違いの評価をしている可能性もありますが、使用者にとって意味のあるデータの抽出を心掛けました。今後同様な剥離剤比較を客観的に行う方があれば、本実験を一つの予備実験として参考にしていただければ幸いです。またメーカの方々のご意見をいただければ今後の参考にしていきたいと思います。

最終の“パウチの面板用剥離剤の全製品比較-4-“では、今回テストした全製品に関しての個別レビュー一覧です。

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