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8.302021
イーキン代表の植木氏とビデオ会議
昨年12月にイーキン社としては2番目のパウチライン、イーキンドットを国内発売開始(“イーキンパウチ使用レポート”)。そのユニークな面板が特徴で、その辺のお話をお伺いしようとコンタクトを取ったところ、イーキンジャパン代表(GM)の植木氏にご対応いただきました。
本来であればもっと早い時期に赤坂のイーキン社オフィスにお邪魔させていただく予定になっていたのですが、度重なるコロナウィルスによる都内緊急事態宣言などで延び延びとなり、最終的にはまずはビデオ会議で、という運びとなりました。
イーキン社の設立経緯に始まり、植木氏のプライベートなお話まで2時間を超えるミーティングになりましたが、非常に内容の濃い時間となりました。植木氏にはこの場を借りてお礼申し上げます。
会議後に改めてTG Eakin社のサイトを拝見しながらいくつか興味深い点もありましたのでその辺をお伝えしたいと思います。
■イーキン社について
TG Eakin社は北アイルランドに本社を構える総合ストマケア製品メーカですが、元々は薬剤師をやっていたTom Eakin氏が、近しい知人のストーマパウチ使用による肌荒れや漏れに悩む様子を見て1974年に設立した会社です。
会社登記は済ませたものの、最初の3,4年間は、当時の使いづらいパウチの問題点を観察しながら、まずはパウチ製造ではなく、面板と問題を起こしている皮膚との間に特別なシールを挟むことによって肌との相性問題を解決するシールを開発することから始まります。
驚いたことにこのシール、当時の調合はパンの生地製造用のこね機を使っていたり、調合した素材を薄くシール状に加工する作業は、なんと手でスライスして切っていたとのことです。なんとも手作り感の強いスモールスタート事業の開始が微笑ましい一方、Eakin氏の患者のために何とかしたいという強い信念が同時に感じ取れます。Eakin社のストマケア事業はこのイーキンシールからスタートしたのです。
設立当初から今現在もプライベート企業として家族経営を生業としているようで、設立後しばらくしてからTom Eakinの二人の息子さん等も参画し、それぞれ幹部として今も企業運営に当たっているようです。
実際の日本国内の事業オペレーションに関しては、本社からの指示は業績第一主義というよりは、しっかりとEakinカルチャーのもとブランドを育てていく戦略の様に植木氏の言葉から感じとれました。
面白いことに、数ある海外ストマケアケアメーカの海外展開のそれとは様相が違い、初の海外進出先が2015年の日本であることに注目です(それ以前は輸入販売代理店としてソルブ株式会社から国内流通されていました)。
植木氏に何故日本に白羽の矢が立ったのかお尋ねしたところ、その辺の本社幹部の意向は不明とのことでした。次いで2019年にオランダ支社、2021年にフランス支社と、順調に海外展開は進んでいるようです。
昨年の12月にDotが国内でも発売されましたが、eakinパウチの使用者数を増やすことの他、元々のEakin主力製品である皮膚保護剤シールの販売に興味を持っておられるようでした。このシール、イーキン社とのパウチに限定されるのではなく、あくまでも患者の皮膚に優しく、各社パウチに依存することなくその汎用性に関して言及されていました。
このシールに関しては、海外では多くのオストメイトが使用の度に一枚そのまま使用する例が多々あるのですが、日本国内では一枚を使用箇所に合わせて切って使用する場合が多いとのことです。WOCNの指導でしょうか、あるいは日本人の几帳面な性格が影響しているのでしょうか。
その他、イーキンジャパン社では国内の様々なストーマケアやWoundcareの事例も収集されており、種々の症例、改善例などもご紹介いただきました。ストマケアメーカとしては、比較的地味な印象だったのですが、その地道な活動がむしろ印象的でした。
今後の画期的な製品開発を期待したいと思います。
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弊社では今まで皮膚保護剤シールに関しての調査を行ってきていませんでしたが、オストメイトの皆さんにその需要度に関してお伺いしてみたいと思っています。